酒マンガ12選(2) [本・マンガ・電子書籍]

お酒を扱った漫画ってどんなのがあるんだろうと幾つか読んでみました。
前回に引き続き、今回はカクテル、日本酒、番外編とご紹介していきます。

【カクテル】
前回の記事でも少し触れましたがカクテル漫画は、主人公はお店に居て、そこに悩みを持った客が訪れ、主人公がお酒の豊富な知識を活かして客の悩みを解決、というのが定番の手法です。


BAR レモン・ハート
古谷三敏
双葉社 漫画アクション

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86年から続く息の長い作品です。主人公はバー「レモン・ハート」のマスター。キャラや背景の線もコマ割りも実にシンプルで読みやすい作品ですね。カクテル漫画に分類しちゃいましたが、ビールや蒸留酒など、いろんなお酒が人情ドラマと共に登場します。

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バー「レモン・ハート」には毎夜さまざまなお客さんがやってきます。


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マスターの豊富な知識がお客の悩みを解決します。

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BARレモン・ハート (1) (双葉文庫―名作シリーズ)



バーテンダー
原作:城アラキ 漫画:長友健篩
集英社 スーパージャンプ→グランドジャンプ

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主人公は佐々倉溜(26)。欧州のカクテルコンテストにアジア人として初めて優勝し、その味は「神のグラス」と呼ばれています。
本作品も主人公が客の悩みをお酒で鮮やかに解決!というカクテル漫画定番の流れですが、今回読んだカクテル漫画の中でもっともあか抜けた印象で、主人公の「優しさ」も印象的な作品です。
原作者は前回ご紹介したワインの漫画『ソムリエール』と同じ人です。どんだけお酒に詳しいんだ。(笑)

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主人公が驚異的な知識と味覚・嗅覚を持つのは酒漫画共通の要素です。


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お客の悩みをお酒でカッコよく解決してしまうのもこのジャンルのセオリー。


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初めて来たお客を緊張させない会話。主人公の優しさというか、気配りの細やかさが表現されているセリフです。

本作品のヒロインは『神の雫』とポジションが似ていますね。
お酒を勉強中という設定ですが、ヒロインの視点がそのまま読者の視点になることが多いです。
また、お酒の予備知識や、主人公がどんなにすごいかを読者に伝える役割もありますし、女性ということで主人公との恋愛要素という側面もあります。

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バーテンダー 1 (ジャンプ・コミックスデラックス)



BAR来夢来人
池田文春
集英社 ビジネスジャンプ

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本作品はカクテル漫画にオカルト要素を盛り込んだ点がユニークです。
悩みを持つ客がお店に訪れるところまでは他の作品と同じなのですが、謎めいたバー「来夢来人」のバーテンダー、沙羅が作る特製カクテルを飲むと客の願いが叶います。叶うのですが、その結果は…。という流れです。
青年誌掲載作品のためか、各話とも必ずエッチなシーンがあるのが玉にキズです。(笑)

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主人公は謎のバー「来夢来人」のクールなバーテンダー、沙羅。実在のカクテルやレシピも登場しますよ。


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各話とも主人公の特製カクテルはお客の願いを叶えるのですが、その結末は…。ちょっと『笑ゥせぇるすまん』に似てるかも。

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Bar来夢来人 1 (ヤングジャンプコミックス)



【日本酒】
続いて日本酒漫画です。日本酒といえば造り酒屋が舞台の作品が多いですね。そういえばワインやビールは作り手が主人公の漫画は無いような気がします。
さてさて、日本酒といえば有名な作品がありますね。


夏子の酒
尾瀬あきら
講談社 モーニング

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日本酒漫画の金字塔ともいえる作品です。80年代の漫画ですが、これを超える日本酒の漫画はいまだにないんじゃないでしょうか。
主人公は造り酒屋の娘、夏子。亡き兄の遺志を継いで幻の酒米“龍錦”で日本一の酒造りを目指します。

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本作品もやはり主人公の夏子は驚異的な味覚・嗅覚を持っています。

ストーリー開始時点では夏子は米作り、酒造りに関してはド素人です。
これは読者の視点と主人公の視点を重ね合わせているためです。杜氏さんや農家の友人が夏子にいろいろ教えてくれますが、実はこれは読者への説明ですよ。

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東京でコピーライターをしていた夏子は仕事を辞めて故郷新潟へ。


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もちろん酒造りの情報もたっぷり。この作品、取材に何年かかってるんだろう。

本作品は日本酒漫画ですが、最初は幻の酒米を栽培するところから始まります。
そのため後継者不足や農協のシステム、農薬の影響など、日本の農業が抱える問題まで踏み込んだ内容になっていて非常に読み応えのある作品となっています。

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新装版 夏子の酒(1) (講談社漫画文庫)



永遠のはじめ 〜会津酒蔵物語〜
松尾しより
集英社 YOU

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こちらも「幻の米で日本一の酒を作る」という『夏子の酒』と思いっきりカブった設定ですが、時代と場所が違います。
時代は昭和18年。舞台は会津一の造り酒屋「佐倉酒造」です。
主人公は佐倉酒造に嫁いだ小作農の娘、登和(とわ)。小作農の娘が名家に嫁ぐわけですから、トラブル必至ですよね。(笑)

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本作品は造り酒屋が舞台ですが、酒作りより恋愛・人間関係のほうにウェイトが割かれています。


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イケメンで名家の跡取り、佐倉創に愛される主人公の登和は当然、嫉妬の対象になっちゃいます。


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最初のヤマ場は出征。主人公の夫にも軍から召集令状が。主人公は蔵を託されます。

本作品の特徴として、セリフが会津弁バリバリですが雰囲気が出ていていい感じです。
ちなみに作中で主人公が探していた幻の米“京の華”は、巻末解説によると実在のお米だそうです。

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永遠のはじめ〜会津酒蔵物語〜 1 (クイーンズコミックス)




【番外編】
いままでお酒を題材とした漫画を扱ってきましたが、最後にお酒を飲み過ぎちゃった末路の漫画をご紹介します。

失踪日記2 アル中病棟
吾妻ひでお
株式会社イースト・プレス

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本作品は漫画家でもある著者が、自身のアル中病院の入院生活を描いた衝撃的な作品です。
アル中になるとどうなるか、アル中病院での実際の治療の様子などが描かれていて実に興味深く読めました。
(ちなみに前作『失踪日記』は著者が漫画執筆に煮詰まって家庭も仕事も投げ出し、ホームレス生活をしていたときの実録です。こちらも凄まじいです)

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入院前の生活。朝から晩まで飲んでたそうです。朝、二日酔い状態で目覚めて気持ち悪いのでまず一杯、という心理がよく分かりませんが。(笑)


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アル中の幻覚はすごいみたいです。怖くて発狂しそうになるそうです。


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入院生活。こんなのにも慣れちゃうって…。


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アルコールを断ってもすぐには脳が回復しません。


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アル中病院にはいろんな患者がいますが、黒田さんは社会復帰無理そう…。

著者の説明によると、
アルコール依存症は回復はしても完治はしない不治の病。
何十年断酒していようが、一度呑んでしまえば元の木阿弥。
いずれは内臓のどこかあるいは脳を侵され廃人になるか死に至る

だそうです。
アル中の人の言葉だけに重みがありますねー。
気をつけたいものです。

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失踪日記2 アル中病棟


なにやら最後が重〜い漫画のご紹介になってしまいましたが、お酒は節度を守って、楽しく、美味しく飲みましょう。
以上、お酒を扱った漫画12冊のご紹介でした。





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コメント 5

ため息の午後

今年もいろいろとありがとうございました。
新年にお会いできることを楽しみにしています(笑)。
by ため息の午後 (2013-12-30 20:49) 

YUTAじい

おはようございます。
本当に今年もお世話になりました。
ありがとうございました。
良いお年をお迎え下さい。
by YUTAじい (2013-12-31 07:27) 

(。・_・。)2k

今年一年ありがとうございました
来年も宜しくお願い致します。
良いお年をお迎え下さい(^^)

by (。・_・。)2k (2013-12-31 11:51) 

YUTAじい

新年明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い申し上げます。
by YUTAじい (2014-01-01 08:35) 

(。・_・。)2k

あけましておめでとうございます。
旧年中は、大変お世話になり ありがとうございました。
今年もよろしくお願いいたします。

by (。・_・。)2k (2014-01-03 12:52) 

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